弥生
3月は陰暦で弥生(やよい)といいます。草木がいよいよ生い茂る「いやおい」からきた呼び名です。
今年は、寒い冬のようですが、3月に入って、いよいよ弥生にふさわしく、木々花々に命の勢いを感じたいも のですね。先日、沖縄の先生とお話をしましたが、沖縄では短い冬と、長い夏との間に短い春と秋が挟まってい るそうです。北海道、弟子屈の村上宅では、5月の中旬までストーブを必要としているとのことでした。そして、 あっという間の春と夏、そして秋、10 月中旬にはもう冬の季節です。それにしても、地球上を見回して、四季が ほぼ等分にあるのは、割合狭い地域だけかも知れません。
~ 春夏秋冬 ~
さて、日本の本州ではもののみごとに四季が春夏秋冬で四等分されています。この四季のリズムが中国では、 一年を四等分必要もないのに古くから分けられています。人間の文化、例えば漢詩の起承転結にも影響を与えて いるといわれています。
~ 起承転結 ~
春、草木は始動し、生命は目に見えて動きだし、夏には大きく成長し、寒さにつなげるべく、秋に、果実をつ け、そして冬、種子は地にもぐって春の再来を待つのです。この様に考えると四季は起承転結を見事に演じてい ますね。
~ 四幕ものの流れ ~
お芝居の四幕ものなどもこの流れの中にある様です。また、フランスのシャンソンなら、春は男女の出会い、 夏は恋の成立、そして秋は、どちらかの裏切り、こうして冬の季節、破局と追憶となるのです。
~ 永久運動 ~
でも物語は、そこでは終わりません。冬は終わりでなく、春の始まりへと連なります。波は崩れてもふたたび 頭を持ち上げるように。四季はあざやかな区切りをもつ一種の永久運動なのかも知れませんね。
3月は卒業、退職、転居、異動などがあります。そこには別れがあり出会いがあります。終わりのように見え ても、また新しい物語を書き始めて行くのです。弥生の明るい、いのちの勢いが人々を後押しします。

聖書のことば
「ご覧、冬は去り、雨も過ぎて行ったから。地には花が咲き乱れ、刈り入れの季節がやって来て、 山鳩の声が、私たちの国中に聞こえる。」

雅歌 2章11、12節